羽部ちひろの描く何気ないモチーフと景色は、現実と夢の世界が交錯していて、不思議な感覚を覚えるのですが、じっと見続けていると、あり得るような感覚へと変化します。実在しないだろう存在や景色も、羽部ちひろが描く世界では、あり得る、存在すると思えるのです。
花瓶の中の山や川、湖は、現実にはあり得ません。でも、羽部ちひろの絵の世界なら、それが成立するのです。花瓶という日常の生活用品から、外の世界が見える、まるで窓のように、外の世界が見えるのが当たり前に感じます。
このように、羽部ちひろがフレームを使って描く作品では、どれもみな、現実にはあり得ない景色や状況が、絵の中では実在し、それを見ている者には、そう思わせてしまう、羽部ちひろの独特の技法、そして、見るものの想像力をかき立てる魅力があります。
どの絵も、スケールが大きく、堂々としているので、それが非現実的な絵なのに、自信を持ってその絵が表現する世界だから、その中に自然と引き込まれ、その世界を夢ではなく現実だと錯覚します。これが羽部ちひろの世界なのです。